3歳でも分かる資産除去債務と税効果会計

嘘だよ。3歳には無理だよね(諦め)。

こう考えてみる

例えば、資産除去債務の問題はこんな感じ。

期首において建物50,000千円を取得し、同日より事業の用に供している。
なお、取得時において資産除去債務1,000千円を計上した。割引率は年5%とし、税効果会計を適用する。端数は四捨五入すること。

◯減価償却方法:耐用年数3年、定額法、残存価額ゼロ、直接法
◯法定実効税率:35%

これを分解して考えてみます。

1 利息費用の計上

まずは利息費用を計上します。これは特に戸惑わないかと思います。

利息費用  50 / 資産除去債務  50
※資産除去債務の残高(1,000) * 割引率(0.05)

2 減価償却費の計上

次に減価償却費の計上。ここも恐らく大丈夫。

減価償却費  17,000 / 建物  17,000
※建物の取得原価(51,000) / 耐用年数(3)

2.5 ここで税効果会計について考える

次に税効果会計の処理が出てきて「なんだこれ草」となるパターンが多いと思います。

そうならないように、ここで頭を整理しましょう。

まず、資産除去債務は税務上否認されます。

ということは、税務上は以下のように処理されていると想像してみます。

資産除去債務 1,050 / 資産除去債務繰入否認(損金不算入) 1,050

上記のように、資産除去債務を消すために、損金不算入処理されていると考えてみます。
※科目名はイメージです。

損金不算入ということは、将来減算一時差異ですので、以下のような仕訳が計上されるということです。

繰延税金資産 368 / 法人税等調整額 368
※1,050*0.35

次に、資産側の税効果を考えてみます。

資産に加算された資産除去債務対応分の金額も、税務上調整されます。つまりこうです。

固定資産取得益否認(益金不算入) 667 / 建物 667
※333は会計上も減価償却(減算)済み

税務上で資産を調整するということは、「固定資産取得益」のようなものを否認するというイメージが分かりやすいかと思います。

益金不算入ということは、将来加算一時差異ですので、以下のような仕訳になります。

法人税等調整額 233 / 繰延税金負債 233
※667*0.35

3 税効果会計の処理

税効果会計の処理をまとめると、以下の2行になるというわけです。

繰延税金資産  368 / 法人税等調整額 368  ※(1,000+50)*0.35
法人税等調整額 233 / 繰延税金負債  233  ※(1,000-333)*0.35

翌年度の会計処理も考えてみる

翌年度の処理は、まず利息費用と減価償却費を計上。

利息費用 53 / 資産除去債務 53
※1,050*0.05
減価償却費 17,000 / 建物 17,000
※51,000/3

次に税効果会計ですが、資産除去債務(利息費用)は損金不算入感が強いのでなんとなくイメージできると思います。

資産除去債務 53 / 資産除去債務繰入否認(損金不算入) 53

実際に税効果会計の仕訳を起こすとこうです。

繰延税金資産 19 / 法人税等調整額 19
※53*0.35

次に資産分ですが、税務上の資産額は初年度で合わせているので、資産除去債務分の建物償却は、逆向きに調整するイメージになります。

建物 333 / 固定資産取得益(益金算入) 333

よって、税効果会計の仕訳は以下のように、繰延税金負債の減少となります。

繰延税金負債 117 / 法人税等調整額 117
※333*0.35

ただし、上記は理解優先でこうしましたが、実際は以下のように前期末の繰延税金負債と当期末の繰延税金負債の差額を計算し、その差額を減らす形で繰延税金負債を減少させます。

前期末の繰延税金負債:233
当期末の繰延税金負債:117 ※1,000-333*2=334 | 334*0.35
当期の繰延税金負債のマイナス額:116 ※このように端数計算で結果が可能性がある

よって、翌期の税効果会計は以下のようになります。

繰延税金資産  19 / 法人税等調整額  19  ※1,050*0.05*0.35
繰延税金負債 117 / 法人税等調整額 117  ※233-(1,000-333*2*0.35)

なんとなく分かりましたでしょうか。細かいところは気にしなくてヨシ!

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